11月25日の練習会~マエストロ、バルトークを語る!~

11月25日。石神井の池を渡る夜風の冷たさが身に沁みる季節になってきました。今日も練習です。

石オケに頼もしい講師が、また一人加わりました。

ヴィオラ講師としてお迎えした手塚貴子先生が、今日から練習会に参加してくださることになりました。ヴィオラメンバーが指折り数えて待っていた、専任講師の登場です!

手塚先生は、音楽大学ではなく、一般の大学を卒業されたプロ奏者という異色の存在です。現在は、東京フィルハーモニー交響楽団という日本一の老舗オケの団員です。お話を伺ったところ、何と、弦楽器を始めたのが高校生になってからとのこと。学生オケなどを経て、思うところあって一念発起してプロになられたそうです。ということは、石オケを経てプロになる団員も、ひょっとすると出るかもしれないかも???

 


手塚先生は、ご覧のとおりの、ボーイッシュな雰囲気の方です。指導コメントは明快で歯切れがよく、そして素顔はとても気さくでフレンドリー。女性にしてとっても「男前」な先生です。素敵な講師の登場にヴィオラチームの面々の目も輝いています。昨シーズンから人数も大増殖している石オケのヴィオラチームが、さらにパワーアップしそうです。5thシーズンの石オケは、ヴィオラパートから目が離せませんよ!!

 

 

 

さて、本日の練習は、もちろんバルトークの『ディヴェルティメント』から。今日は、コンサートマスターの伊東先生も参加してくださり、前回の練習より、だいぶ締まってきました。しかし未だ頭の中は、ず~っと「1,2,3,4,5,6…」が渦巻いていて、団員の多くは自分の楽譜を追いかけることで精一杯といったところです。練習はまだ第一楽章の譜読みがやっと終わった段階、この後も、第二楽章、第三楽章と、次々高い壁が立ちはだかっています。まだまだ道は険し…

休憩の後は、これまたいつものとおりバッハの『ブランデンブルク』を通しましたが、まるで練習前半の不完全燃焼を晴らすかのようなハイパワーなブランデンで、思わず「ブランデンブルクの時間はバルトークをがんばったご褒美みたいだなあ」と感じてしまった筆者でありました。

しかし、そんなことは言っていられません。バルトークは、今シーズンの定演のメイン楽曲なのです。

「みなさんのモチベーションアップのために、この曲に対する私の思いをお話したい」

というマエストロ・西谷国登先生の強いご希望にお応えして、緊急インタビューを敢行しました。以下に掲載します。少々長くて熱い(?)ですが、団員の皆様、しっかり読んでくださいね。

 


☆第5シーズンの演奏曲に、バルトークの『ディヴェルティメント』を選ばれた理由をお聞かせください

(西谷氏)理由は大きく分けて3つあります。一つ目は、石オケの長所を活かせること。二つ目は石オケブランディングを確立すること。そして最後に、来年を石オケの勝負の年と位置付けたことです。

一つ目の石オケの長所を活かすということですが、もちろん石オケの最大の長所は、雰囲気が面白く、団員の仲が良いことだと思っていますが、「演奏者としての最大の長所」は、各パートに、とても協力的で一緒に演奏してくださるプロの先生方がいることだと思います。先生方を最大限に活かせる曲として、この曲は最適であり最高な曲だと考えました。先生方に、複雑でハイテクニックながら美しくカッコいいソロを担当してもらうことで、石オケの魅力を最大限に放つことができると思います。団員たちにとっても、自分たちだけでも簡単に弾けてしまう曲を一緒に演奏してもらうより、プロの先生がいるからこそ弾ける難曲に挑戦して、味わいを分かち合うことの方が、素晴らしい経験になると私は考えています。

二つ目の、石オケブランディングの確立についてです。「過去の演奏会で、どんな曲を演奏したか」ということは、アマオケとしての価値。そして、何より団員にとっての誇りだと思います。これから先、世界中のより素晴らしい奏者や楽団と共演するためにも、レヴェルの高い難曲を演奏してきたというファクトは大事な武器になると思います。

そして、三つ目。5年目は節目であり、だからこそ勝負の年と考えています。石オケを創設した初年度から目標としてきた曲目リストがあります。そのリストには、チャイコフスキーやドヴォルザークの弦楽セレナーデ、メンデルスゾーンのオクテット、ドヴォルザークのアメリカ、そして、最後にバルトークのディヴェルティメントが書かれています。もう一曲、ドビュッシーの弦楽四重奏というのもありましたが…。正直10年くらいの間に、すべてできればよいと当初は考えていました。ところが、どうでしょう!?既に大半はクリアーしてしまいました。団員のみなさんの成長力、成し遂げてしまうパワーは、私の想像を超えています。だから、オケ奏者にとっても、指揮者にとっても、最も難しい挑戦であるバルトークが節目の勝負曲として、一番ふさわしいと考えました。

 

☆これまでに、この曲を演奏あるいは指揮された経験はありますか?

井上道義氏と一緒に指揮を振り指導を受ける、修行中のマエストロ

(西谷氏)私がアメリカから戻り路頭に迷っていた頃、金沢で指揮者の井上道義先生が開催された指揮講習会に参加したことがあり、その時の課題曲の中に、この曲が入っていました。事前に聞かされてなかったのですが、参加するといきなり振り分けテストがあり、ディヴェルティメントを振らされました。テストで受かった人だけが講習を受講できて、ダメだった人は見学のみ、という厳しいものでした。私は真面目に(笑)勉強していった結果、テストに合格することができ、この曲は、日本国内で初めて自分の指揮を受け入れてもらえた思い出の一曲となりました。そしてこの曲のおかげで、日本を代表する指揮者である井上道義先生と広上淳一先生の講義を受けることができました。その時は、第一楽章のみの練習でしたが、、ついに今回、全楽章指揮を振れることは、とてもうれしく光栄に思います。

 

☆先生が感じられるこの曲の魅力とは、どんなところにあるでしょうか?

(西谷氏)一番の魅力は、やはりバルトーク独特の民俗的なリズムと旋律です。慣れると、とても聴きごたえのある、喜怒哀楽すべてが詰まった迫力ある音楽にきこえてきますよ。団員のみなさんは、そのリズムとタイだらけの旋律に苦しんでいるかもしれませんが(笑)でもそれは、私、つまり指揮者も同じ!お互いの練習が大変な曲です。それから、バルトークが愛したドイツやオーストリアの音楽の影響を受け、彼が参考にしたかもしれないモーツァルトのディヴェルティメントの匂いがバルトークの民俗音楽の中にスパイス的に入っているのも魅力です。そしてもちろん、各パートのソロが美しくメロディーを奏で合うところは、特に聴きどころであると思います。

 

☆どうやって練習したらよいかわからない、という声もありますが、練習のポイントは?

(西谷氏)CDやYoutube等の録音を何十回、何百回と譜面、特にスコアと一緒に聴くことです!!自分のパートだけ練習していても本当に訳がわからない曲かもしれません。それに不自然な臨時記号の多い音階も多数出てきます。これらは、耳で聴いて覚えることで解決すると思います。耳で覚えないと速いパッセージを弾くのはプロでも至難の業です。一音一音、覚えて演奏していきましょう。簡単に言ってしまえば、この曲に慣れることが重要です。一日も早く、この曲をよく知る友人になりましょう!けっこう耳に残る旋律が多いですよ。

 

☆最後に石オケ団員に向けてメッセージをお願いします

(西谷氏)バルトークのディベルティメントは、確かに挑戦曲で、弦楽合奏曲の中では難易度トップにある曲だと思います。アマオケでこの曲に挑戦する指揮者も奏者もあまりいないことも事実です。ですが、この曲を演奏することができれば、ものすごく大きな経験になります。なにより、この曲に挑戦できるチャンスはなかなかないのですから、ぜひこの貴重な機会を大切にしてがんばっていきましょう!!噛めば噛むほど味が出てきますよ~


さあ、ここまで読んできたあなたは、今きっと、やる気になっているに違いありません。ブランデンブルクのご褒美に釣られる日々は卒業して、今度はマエストロに「バルトーク、もっとやりましょう!」と言えるくらいこの曲と仲良しになりましょう。

 

さて、最後に、おまけの一枚。

今日も「手塚先生歓迎会」という名のいつもの宴会で練習を締めた石オケでした。手塚先生、こんな石オケですが、どうぞよろしくお願いします。

 

 

by A.E.<Vn>

 

 

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