12月24日。クリスマスイブです。
……でも練習です。
ローストチキンとケーキを囲んで、家族団らんで過ごす夜です。
……でも、石オケは練習です。
恋人たちがイルミネーションの下で、プレゼントを交換し合う夜です。
…でも、石オケは練習です。
この日は団員の出足が鈍く、練習開始時刻が近づいても、人影がまばら。さすがに、クリスマスイブにオケの練習に来ようなんていう人は少ないのでは、と思っていましたが……
次々と団員が入ってきて、振り下ろしの頃には、このとおり、いつもの練習会とほとんど変わらない練習風景となりました。どうやら、石オケの団員にはクリスマス
このところ、ずっとオクテットの練習が続いていましたが、今日は、久しぶりにモーツァルトのディヴェルティメントから。12/29に池袋コミュニティカレッジで行われる忘年パーティーで初披露しようとの趣向で、早くも完成形を目指します。定期演奏会まで漫然と練習を続けるのではなく、こうした準本番的な場を作ることでモチベーションを保とうというマエストロの気遣いが感じられます。
モーツァルトの時間の主役は毛利先生。ふだんは寡黙な先生ですが、今日は饒舌です。
「強弱のメリハリが全然ない」
「フレーズの切り方が乱暴。もっとていねいに」
と、次々と厳しい指摘を受ける団員一同です。ディヴェルティメントは、他の2曲に比べれば小曲ではありますが、小曲だからこそ、繊細で完璧な音にこだわりたいところです。
後半は、前回、予告があったにもかかわらず音取り1回で終わってしまったオクテットの第2楽章を、今日は真剣に。マエストロの注文は、最初からなかなか厳しそうです。
「ヴィオラ、あと4%音量を上げてください。」
えっ、4%? ずいぶん細かいですね。しかも、注文はもうひとつ。
「音量は4%上げて、気持ちは4%下げてください。」
??? これはかなり高度な要求ですね。4%の根拠は何なのでしょう。5%よりもっと微妙な上げ下げ、ということでしょうか?
こんな、注文もありました。
「8本の糸を、暖炉の前で編み上げてる感じで…」
おお、何というロマンティックな表現!マエストロ、なかなかの詩人ですね。
休憩時間に、こんなお茶目なことをしている人と同一人物とは思えません。
今日は、マエストロと講師の先生方から、たくさんの言葉のクリスマスプレゼントをいただきましたが、先生方のこだわりにも、それぞれの特徴があってなかなか面白いです。
毛利先生は、音の強弱や音符の長さなど、楽譜に書かれたことの意味を認識して、作曲者の意図する「美しい音楽」を追求することの大切さをいつも説かれます。
西谷先生は、「楽しい音楽」の追求に余念がなく、遊び心のある演奏を要求します。ただ楽譜どおりに正確に弾くだけではなかなか満足しません。
伊東先生は、「音楽の流れに乗る」ということをよく言われます。きざみのテンポが合わないと悩む団員に「無理に楽譜どおりに弾こうとしないで、音楽全体の流れを聴いて、身をまかせればよいのでは。」とプロオケの団員ならではのアドバイスをされていました。
さて、石オケの練習も、今年はこの日で弾き納めです。年明けからは、いよいよドヴォルザークの練習が始まります。お正月休みに十分英気を養って、年明け1月14日に、気持ちも新たに練習を再開しましょう。
by A.E.<Vn>