5月13日。今日は雨に煙る石神井公園から、練習会の報告です。
楽器を抱えて通っていく団員の身には堪える大雨でしたが、溢れんばかりの水を得て、池のほとりを黄色く彩り始めたカキツバタの花はとってもうれしそうに咲いています。
さあ、定演まであと1か月。これまで一週おきだった練習会も、今日から本番までは、休みなしに毎週行われます。
今日は、メンデルスゾーンのオクテット全楽章を通しで演奏して、ここまでの仕上がり状況のチェックと課題の洗い出しを行います。
まず第二楽章から第四楽章をノンストップで。
「うん、第四楽章は、まあまあです。」
…ということは、第四楽章にも、課題が残っているし、第二楽章と第三楽章は全然まだまだ、ということですね。これは最初から厳しい評価です。マエストロの一番の気がかりが第三楽章。軽妙な掛け合いが聴かせどころのスケルッツォですが「軽妙」には程遠い状態のようです。マエストロの心に、一瞬「演奏カット」の気持ちが芽生えかけた気配でしたが、
「まだ、第三楽章に本気になってない!という人、手を挙げてください。」
という問いかけに…
おっ、こんなにたくさん手が挙がりました!!やる気(だけ?)は満々の団員一同です。一部に、マエストロが「まだ練習が足りてない人」と言い換えたことで急に手を挙げ始めた団員もいたようですが、とにかく、まだ伸び代はある、と思い直していただけたようです。
毛利先生の「この曲は慣れだよ」とのナイスアシストを受けて、これから毎週、第三楽章だけは必ず練習メニューに入れて、最後の最後まで粘ることになりました。
10分間の休憩を前に、お待ちかね、マエストロのアメリカ土産ご披露の時間です!お土産はこちら!!
おや、早くも手を延ばしている人がいますね。マエストロのアメリカでの故郷・ポートランドの名物お菓子だそうです。マエストロによると「1個500円」の貴重品とのことで、これは心していただかねばなりません。お味の方はというと、まさしく和菓子の「ゆべし」のような食感。ゆずのかわりにりんごとアプリコットを使って、ちょっぴり甘さを増量した「アメリカンゆべし」でした。
一同、おいしくいただいたところで、マエストロの一言。
「食べた人は、ちゃんと練習してくださいね。」
先着数名限定の2個目をいただいてしまった筆者は、二倍練習せねばなりません(汗)
後半は、オクテットの第一楽章。ダイナミクスや、パートごとの注意ポイントを細かく確認していきました。再現部の前にユニゾンで演奏する長いパッセージがあるのですが、この部分の「見た目」にこだわったマエストロ。ピタッと揃った弓の動きを実現するために、全員が全弓を使ってダイナミックに演奏することを要求します。
「みなさん、顔が本気じゃありません!もっと集中した本気の顔で弾いてください!!」
前々回のモーツァルトの練習で、「顔芸」による指揮を披露した(→くわしくはこちら)マエストロでしたが、ついに今度は、演奏者側にも「顔芸」を要求してきました!!やってみると確かに、顔を作ることで気が入り、それによって音が変わってくるのは事実です。
「音を変えるには、まず顔から」
これ、新しいオーケストラ哲学かもしれません。
それではみなさん、6週間のロングラストスパート、本気の「顔」でがんばりましょう!!!
by A.E.<Vn>