桜の花が終わった途端に、色とりどりの春の花々や木々の若葉が一斉に芽吹きはじめ、春が足早に過ぎてゆきます。そして、5月の本番は刻一刻と近づいてきます。4月16日、石オケは通し練習3回目を迎えました。
今日は、まずアンコール曲の検討から。候補曲として当初から予定されているのは、しっとりとしたグリーグの『過ぎにし春』なのですが、マエストロの心の中にはもう一つの腹案があって、『トリプティーク』の第一楽章をもう一度演奏して賑やかに締めるのもいいかな、と思い始めたようです。一度『過ぎにし春』を演奏してみた後で「さて、どちらがいいでしょう?」と問うマエストロです。毛利先生からは
「両方、やろう!」
という意見も出て、『過ぎにし春』、『トリプティーク』、両方の三択で緊急アンケートを取ることになりました。結果は、やっぱり『過ぎにし春』単独演奏に決定。パワフルな曲目が続く今回の演奏会、最後はスローテンポで静かに締めたいというのが団員たちの本音のようです。
もう一度、今度は丁寧に『過ぎにし春』をさらった後は、今日ももちろん全曲通しです。(ソロ奏者が揃っていないバッハを除く)途中で演奏を止めることもなく、どんどんプログラムを進めていきます。各パートにトップを担う講師の先生方が揃う中、唯一先生を欠き、さらにパートリーダーも欠席だったセカンドヴァイオリンの団員は、必死の形相で喰らいついていきます。が、例のドビュッシーの途中あたりでかなり怪しくなってきた(汗)……と思ったら、天の助けが降りてきました。指揮者のはずのマエストロが突然ヴァイオリンを手にしてセカンドのパートを弾き始めてくださったお蔭で、何とか立て直すことができました。
その他の曲でも、トップ不在の分、諸々の課題が目立ったしまったセカンドの団員たちでしたが、伊東先生、毛利先生から多くの指導をいただき、逆にとても勉強になった今日の練習会でした。それにしても、自身は別のパートを弾きながら他のパートの課題や、その課題の解決方法まで指摘できてしまうなんて、やっぱり先生方ってすごいんだな、と改めて感じました。
さて、石オケの名物と言えば、難解なリズムを習得する際に、マエストロから授けられる秘伝の≪呪文≫です。
過去にもこんな≪呪文≫があったのを覚えていらっしゃいますでしょうか?
「クニト ユウキ クニト ユウキ クニトダ」
「よかった、っよね、っグッド、ファゴット だったら、バッハ、バッハ、しまった、しまった、ショックっぽい、やってくる …」
懐かしいですね。初見の方は、なんじゃこれと思われたかもしれません。最初のはルドルフ・ハケン協奏曲、二番目のはドヴォルザークの弦セレの一節の覚え方でしたね。最近、呪文が出ないなと思っていたら、今回、久々に出ました!
『トリプティーク』第三楽章の最後は4分の2拍子から突然8分の3拍子になって終わるのですが、最後だけに数え間違うととてもカッコ悪いことになってしまうので演奏者は気を遣います。ところが実は苦戦していたのはマエストロも同じだったようです。何とか振り間違わない方法はないかと考えたのが、新たな呪文でした。
「チャカチャン チャカチャン チャンチャン
ニシタニクニヒコクン チャンチャン」
西谷国登氏の本名は「ニシタニクニヒコ」さんだったんですね。
「これを思いついてから、まったく間違わなくなりました!」
と自慢げなマエストロです。ここのリズムに自信のない皆さんもぜひマネしてみてください。「ニシタニクニヒコクン」ですよ。間違えて「ニシタニクニトクン」にしないように気を付けてくださいね。
練習会は残り、あと2回。さらに通し練習は続きます…
by A.E.<Vn>