9月29日の練習会~第1回パート別分奏~

  • 2018年9月30日
  • 2018年10月3日
  • 練習
  • 57view

9月29日。今日も雨模様の石神井公園です。練習会の日には、あまり「雨」の印象がなかったこれまでの石オケでしたが、今シーズンに入ってなぜか雨降りが続いています。ふるさと文化館前の小さな駐車場は、土曜日の夜だけ、すっかり石オケ御用達となった感があります。

この日は、パート別の分奏練習です。『ホルベルク組曲』を題材に、低弦(チェロ)チームは毛利先生の元でみっちりと、手塚先生が指導するヴィオラチームには前半は第2ヴァイオリンチーム、後半は第1ヴァイオリンチームが加わる合同形式で、そして、合同に加わらない側のヴァイオリンチームを西谷先生に見ていただく、という形で行われました。

 

 

筆者は、前半は手塚先生の合同教室、後半は、西谷先生のスパルタ教室!?に参加したのですが、両先生の指導に、オーケストラ団員の手塚先生らしさ、ソリストの西谷先生らしさ、がそれぞれ如実に現れていて、とても興味深く感じました。

 

 

手塚先生は、第3楽章『ガヴォット』の冒頭、拍の頭についたアクセントの弾き方について、その音符全体が強いのではなく、音が出る瞬間だけが強い、ということを説明するのに「子音だけ強く、母音は弱める」と表現されました。とてもオーケストラ的な、繊細な表現だな、と感じました。アクセントの音符を弾くときは「髪の毛3本分だけ間をあける」という微妙な表現もありました。また、単純に四分音符が続く部分について「管楽器を吹いているつもりで」という表現も、新鮮に聞こえました。確かに、弦楽器奏者は、デタッシェ奏法で「ダウン、アップ。ダウン、アップ」と弾いているうちに、どうしてもダウンボウの方を強く弾いてしまい、一音おきに強弱ができてしまいがちです。ダウンの音もアップも音の同質に均一に弾く意識を持つために「管楽器のつもりで」は魔法の言葉になりそうです。

 

第2楽章『サラバンド』の練習では「一度、音楽的な表現を加えずに、譜面どおりに弾いてみましょう。」と。石オケでは、これまでにあまりやったことのなかった練習方法でしたが、正しいハーモニーの重なりを確認する上でも、また2拍目にステップを踏むサラバンドのリズム感を体感する上でも、多くの気づきがありました。オーケストラにおいては、本当は、こういう練習こそ必要なのかもしれない、と感じました。

 

 

 

後半の西谷教室でも、まず『ガヴォット』と『サラバンド』をやりました。西谷先生のアクセント指導は、とてもアクティブ。

「アクセントを弾く時に、大切なことは準備です。飛び上がる時も、膝を曲げて準備してから飛ぶでしょ。」

と、ポンっと飛んでみせます。

さらに『サラバンド』では、実際に右足を前に出し、両手をパッと広げてサラバンドの舞を実践してみせました。(写真を撮るので、もう一度やってください、とお願いしたら断られました。残念!)

このようにまずアクションから入るのが西谷流です。

西谷先生がよく口にされる言葉が「呼吸」「勢い」「圧力」そして、パッと抜く時の「間」です。いずれもソリストの西谷先生ならではの感覚的な言葉ですね。これらは頭で考えてできるものではなく、体感として獲得する以外にないものです。しかし、オーケストラとして、生きた音楽、聴かせる音楽を創るためには、これもまた絶対に欠かせない要素なのです。

 

 

同じ題材を使いながら、対照的なお二人の先生の指導ぶりでしたが、気付いたことがありました。

両先生がそれぞれ模範演奏してくださった『ガヴォット』冒頭の部分、ほとんど同じ音楽でした。それぞれこんなにアプローチの仕方は違っていても、目指すものは同じだということがわかりました。これは、今日の大発見でした。

さて、西谷教室は、実はこれで終わりではありませんでした。

「さあ、では第1楽章、やりましょう!」

『ホルベルク組曲』の最難関は、第1楽章『プレリュード』の全編で刻まれる「タッタカ、タッタカ」というリズムの刻みです。西谷先生はフォルテの部分はマルテラートで、ピアノの部分は手首を使ったスピカートで、と高度な技を要求してきます。これがなかなか大変。

「どうしたらできるようになりますか?」

ある団員の質問に、先生の答えは…

「1500回くらい練習したら、できるようになりますよ。」

1500回の根拠って何だろう…とよけいなことを考えていたら

「はい、それではやってみましょう!フォルテで2回、タッタカ タッタカ、ピアノで2回 タッタカ タッタカ、はいはい、続けて!!」

という訳で、西谷教室の締めに、全員の「タッタカ タッタカ」が延々と続いたのでした。

by A.E.<Vn>