先週から二週続けての練習日となりました。
ちょうど団員たちが練習会場に向かっている時に、突然ゴロゴロと雷鳴がとどろき始め、雨粒が落ちてきました。今シーズンの練習日は、なぜかお天気が不順です。
練習の二日前になって送られてきたこの日の練習メニューを見て「えっ!」と思った団員は少なくなかったようです。
「ドビュッシー『弦楽四重奏』譜読み」
今、取り組んでいる『トリプティーク』と『死と乙女』を一定程度仕上げてから始めるものとばかり思っていたドビュッシーを、もう始めるというのです。
「ヤバい!まだ譜読みしてない」と焦ったところで、練習日は二日後。
「もう、初見でいいか。」と開き直った団員も、筆者を始めちらほらといたようでした。(もちろん、多数の団員はちゃんと予習してきたものと信じます)
「さあ、とにかく弾いてみましょう」とゆっくりのテンポで一度通してところで、マエストロ、あることに気付きました。
「セカンドヴァイオリンは、これしかいないんでしたっけ?」
確かに今日は、セカンドのトップの安藤先生と幾人かの欠席者がいましたが、ファーストヴァイオリンとの人数の差は歴然でした。
するとマエストロ、「ピアノをやっていて楽譜が読めるから」という理由で、ファーストの某団員の一人に、いきなりセカンド第一列への席の移動を命じたのです。
「ちょっと、待って。セカンドなんて練習していませんよ。」
と叫んだ某団員とは、ほかならぬ筆者のことでした。
まあでも、よく考えてみたら、ファーストの楽譜を初めて開いたのも今日の午後なのですから、どちらにしても「ほとんど初見」状態に変わりはないのでした。
そう思い直して、席を移した筆者でした。
しかし「楽譜が読めること」と「弾けること」は、けっしてイコールではありません。「弾く」ためには、最適なポジションの取り方、弓の使い方など読譜と同時に考えながらやらなければならないことがたくさんあるのです。あたふたしながら、何とか弾いていきましたが、♯6つのところで思わず「これ、無理」と心の中で叫びました。
それでも、よいこともありました。ファーストとセカンドの両方を弾いてみたことで、ドビュッシー独特の和声の一端を理解できた気がしたのです。楽器が違うとなかなか難しいところもありますが、他のパートを体験してみると、曲の見え方が変わってくるというのは新たな発見でした。
後半は、『トリプティーク』を第一楽章から第三楽章まで通して練習を終えました。片付けを終えて外に出ると、秋の虫の音があちこちから聞こえてきました。思わず『トリプティーク』第二楽章を口ずさんで帰路についた筆者でした。
by A.E.<Vn>