早くも12月。石神井池を渡る風が身にしみる季節となりました。光陰矢の如し。春の本番の日も、あっという間に来てしまいそうです。
マエストロからの第一声です。
「今期の石オケは新しいメンバーが多く加わってくれました。でもまだ、ちゃんとした自己紹介もできていません。練習の時間だけではなかなか満足なコミュニケーションを取ることもできないので、このご時世ですが、来年の年明けに新年会をやることにしました。もう守りのオケはやめてこれからは『攻めのオケ』を目指すことにします!」
との力強い宣言でした。確かに巣篭ってばかりでは、オーケストラのみならずすべての団体活動が停滞していってしまいます。コロナの波が収まってみんなが安心して「攻め」に打って出られることを祈りながら、新年を迎えましょう。
さて、今日の練習です。前半は前回の続きでモーツァルトの『フルートとハープのための協奏曲』からです。ハープのソリストとして共演予定の東海林悦子先生がフランスから一時帰国されるのに合わせて、練習にお付き合いくださることになったからです。まだまともに最後まで音合わせすら終わっていないのにこれは大変です。今日はお休みのレディー・マエストロに代わって西谷マエストロの指導で、いきなり本番テンポで練習は始まりました。筆者たちは練習会前の自主練でさらっていったはずでしたが、自主練の倍の速さについていくだけで必死でした。絶対に指が回らなそうな箇所が多数あり、これは弾いてる「フリ」の練習に特化した方がよいのではないかと、よこしまな考えが頭をよぎる筆者でした。
これにハープとヴァイオリンのソロが加わった時に、果たしてどうなるのか、楽しみでもあり、恐ろしくもあり、次回の練習会が待ち遠しいですね。
後半はチャイコフスキーの弦セレの時間です。今日は何楽章と限らずに各楽章の「難所」を順番にさらっていくことになりました。マエストロは今日も相変わらず講師の先生方を質問攻めにしていきます。今日はチェロの毛利先生がいい味を出してくれました。
一気に1オクターブ半くらい音が上がる部分の弾き方を尋ねられた毛利先生。
「ここは移弦を使う方法ではよろしくないので、やはりこうして…」
と、鮮やかにA線上に指を滑らしてみせました。
正面のコンマス席に座っていた伊東先生の口から、思わず
「おおっ、カックいいィ!」
と声がもれるほど、本当にカッコいい弾きぶりでしたが、
「カッコいいのはわかりましたけど、で、どうすればそういう風に弾けるんですか?」
とのマエストロの問いに、毛利先生
「うん、そうね~……これはね……むずかしいんだよ。」
一同、コントのようにズッコケそうになりましたが、でも、ちゃんとヒントをくださいましたよ。
「1、2、3、と順番に指を置いていく感じで。」
ほー、なるほど。筆者はチェロのことはよくわかりませんが、これがチェロ流のガイドの取り方なのかな、と妙に得心した次第です。
第三楽章の中間部、ヴィオラがメロディーを奏でる裏で、ヴァイオリンがオブリガードを重ね、チェロが三連符で支える、と三者三様ならぬ四者四様の動きをするところがあります。ここでのチェロの注意点は、と尋ねられた毛利先生のお答えが、またふるっていました。
「ここは、三拍子で振ってくれなきゃ、弾けないよ。」
さすがです、毛利先生!
マエストロの指揮に対して、ここまではっきりものを言えるのは毛利先生だけです。
今日は、真面目な顔してオトボケを言う毛利先生のおかげで、楽しい練習会になりました。
by A.E.<Vn>