定期演奏会まで一ヶ月切りました!のでフライヤーを再度掲載します!
4月8日。サクラの花はとうに散ってゆき、「ゴールデンウィークの花」のイメージがあるハナミズキやつつじの花が早くも咲いているせっかちな今年の春です。第9シーズンの石オケの練習会も、今日を入れてあと4回。咲き急ぐ花たちを見て、より気持ちが急かされる今日この頃です。
今日の練習のメインはモーツァルト『フルートとハープのための協奏曲』です。昨年末、ハープの東海林先生のご帰国の際に合わせ練習して以来の久しぶりの練習です。団員の間では「モーツァルト、ずっとやってなくて不安だよね」とか「もう忘れちゃったよ」と言った声があがっていたのでひと安心です。特に年末の合わせ練習を欠席してしまった筆者にとって、今日は貴重な一日となりそうです。
モーツアルトの指揮者は、以前ブログでもご紹介したとおり『レディー・マエストロ』手塚先生です。この日もお仕事帰りでしょうか?上下黒の本番の衣装っぽい出で立ちで指揮台に立たれた姿を見ると、こちらも自然に背筋が伸びるような気がします。
手塚流の指導方は、ひとつのパッセージごとに演奏を止めて、気になること、改善点などを指摘していきます。弾けても弾けなくてもとりあえず通してみてから指導する西谷先生のやり方とは好対照です。しかも手塚先生の指導はかなり細かく、かつ厳しいです。納得がいくまで何度も同じ箇所を繰り返させて、なかなか先に進まないところは、毛利先生の指導にも負けていません!
また、言葉の使い方も、先生によって様々なのも面白いところです。
連打音のところでは「打音は正確に。不整脈にならない!」
少しだけ顔を出すメロディー部分は「コケティッシュな感じで」
フレーズの最後は勢いに任せずに「ここは、大人の納め方で」
手塚語録はこんな具合です。
手塚先生が特にこだわるのが1小節、場合によっては4〜5音程度のごく短いフレーズ単位での音楽の完成度です。わずかな数の音の中にも疎かにできない音があること、つまり短いフレーズの中にも音の<序列>があって、どんなフレーズでも、ただ漫然と流して弾いてはいけないということを教わった気がしました。
さて、疎かにできない音を、ちゃんと疎かにしていないように聴かせるには様々な技術も必要です。ある音の弾き方について、手塚先生が「少し長めに弾いてみるとかかな…」など技術的なアドバイスをした後に、もう一度弾き直ししてみた時のことです。
「あ、ちょっとよくなりましたね。今、どんなこと考えながら弾きましたか?」
すぐ前にいた伊東先生に向けて、アドバイスの補足を期待して手塚先生が投げかけました。それに対する伊東先生の返答は・・
「心をこめて弾きました。」
どっと笑いが起きました。伊東先生、質問責めに対する新たな防御方策を考え出しましたね。
しかしよく考えてみると、「技術を駆使すること」と「心をこめて弾くこと」とは案外、裏腹の関係にあると言えるのではないでしょうか。技術があってこそ心のこもった演奏ができるのも真なら、心をこめることで演奏の中でその技術が活きてくる、というその逆もまた真であるように思います。そう考えると伊東先生の返答もなかなか意味深なものに感じられますね。
練習の最後は、今日の練習内容を踏まえて第一楽章章末のTuttiを
「それでは、心をこめて!」
の合図で演奏して、お開きとしました。
手塚先生のお腹いっぱい盛りだくさんな指導によって、今日の練習はモーツアルトだけでタイムアップとなりました。しかし、モーツアルトの練習ポイントも明確になり、これで全曲、本番に向かって突っ走れそうな予感がしてきました!!
by A.E.<Vn>