4月29日の練習会 ~侃々諤々~

4月29日。先週に引き続き、今日も練習です。定期演奏会まであと1週間。第9シーズンもいよいよ佳境に入ってきました。

練習室に入っていくと、部屋の真ん中に黄金に輝くギリシャ建築の柱?と思ったら、ハープが鎮座していました。今日はハープで共演していただく東海林悦子先生をお迎えして、モーツアルト『フルートとハープのための協奏曲』を集中して練習する予定になっています。いつもの無機質なこの集会室が、ハープのおかげで急に格調高いサロンのように見えてきました。

『フルートとハープのため』と言いながら、弦楽オーケストラである石オケに管楽器奏者はいません。石オケ流は、フルートのソロパートを西谷先生がヴァイオリンで演奏し、オーケストラパートに入っているオーボエとホルンまで前列の奏者がヴァイオリンとヴィオラで演奏してしまう、という斬新な形です。毎回「本邦初」とか「世界初」とか思い切った試みに挑戦する石オケですが、今回の挑戦もひょっとすると「世界初」かもしれませんね。

昨年末に行われたハープとの初合わせの日を欠席してしまった筆者は、東海林先生にお会いするのが初めてでした。東海林先生は、つま先立ちで背伸びしながらハープの調弦をされるくらい小柄で、あんなに大きなハープを身体の方に傾けたらそのまま倒れてしまうんじゃないかと心配になるほど華奢な方ですが、演奏を始めるとピタっと楽器と一体化し、鮮やかな手つきで楽器を操られています。

伴奏パートの心得は、とにかく音は小さく、ソロパートの演奏が常に自分に聴こえているように、ということでした。これまでの練習の成果で、以前よりは音量を下げても演奏できるようにはなってきたように思います。それでも気分よく弾ける上行形のパッセージでは思い切りクレッシェンドしてしまい

「そこは、そんなに大きくしない!」

と指揮の手塚先生にたしなめられる団員一同でありました。

団員たちのもう一つの課題は、カデンツァの後などの再現部を最初から自信をもって弾くことです。自分たちがどこから出るのかよくわからないので、弾き始めがどうしても自信なさげになってしまいますが、カデンツァの後に待っているのはフィナーレです。最初から自信をもって楽しく弾くことが大切です。

第二楽章を練習していた時のことです。その時、手塚先生は32小節目あたりの指導をしていたのですが、伊東先生はどうも最初からずっと気になっていたことがあったようで

「あのさ、2小節目なんだけど…」

今、32小節目をやっているのですが、まあ、お話を聞きましょう。

第二楽章は冒頭の2小節をゆったりしたメロディーを奏で、3小節目に16分音符のスタッカートが動き出すのですが、伊東先生は3小節目の入り方のばらつきが気になる様子。3小節目の入りをきれいに揃えるために伊東先生は2小節目を少し緩めた方がよいのでは、と言われました。それに対して「基本的にインテンポ」と主張する手塚先生との間で、緩めるか緩めないか、緩めるならどれくらい、3小節目の入りの間はどれくらい等々とやり取りが続き、さらに毛利先生も参加して、練習室では講師の先生方の侃々諤々の議論が延々と繰り広げられることとなりました。プロのオーケストラのリハーサルって、いつもこんな感じなのでしょうか?石オケの先生方は、普段はとても優しくフレンドリーな皆さんで、先生同士もみんな仲良しなのですが、音楽のこととなるとみんな頑固者に変貌するようですね。

さて、その侃々諤々の議論の結果ですが、我ら団員には少々レベルが高すぎたのか、何度も弾き直しているうちにますますわからなくなってきて、やればやるほど3小節目のバラバラ感(先生方の言う『わちゃわちゃ』)がよけい増してしまったような気もします。が、石オケはあと1週間、まだまだ粘ります。本番までにどれだけ『わちゃわちゃ』が解消するか、5月7日は第二楽章の3小節目に注目です!

さあ、第9シーズンの練習もあと1回を残すのみとなりました。泣いても笑っても本番はもう目の前。どうせなら笑って終われるように本番を思い切り楽しみましょう!!

 by A.E.<Vn>

おまけ、インタビュー動画!