2025年、人類史上最高に苛酷と言っても過言ではないくらい暑い夏、みなさまは、無事にお過ごしでしょうか?9月の半ばにさしかかる今も、まだ過去形で語れないところがつらいところです。
9月13日、この日も夜になってもまだムシムシと汗ばむ中、石オケ第12シーズンが始まりました。昨シーズン新たに入団したメンバーもほとんどが継続団員となり、すっかり石オケに馴染んでくれたようで嬉しい限りです。みんなで再会を喜び合いました。
さて、マエストロはこのオフシーズンの間に、プライベートで辛いこと、嬉しいこと取り混ぜて、人生のターニングポイントとなるような出来事が諸々あったようで、石オケに臨む気持ちの中にも何やら変化があった様子です。12シーズンの石オケは新たなフェーズに入りそうな予感です!
「私、しばらく入院してまして、今7、8割くらいの回復ぐあいなので座って指揮をさせてもらいますね。」
と言って練習開始となったはずでしたが、最初のワンフレーズを弾いたところで
「いやいや、違う!そこはこうで、ああで…」
とさっそく立ち上がって、楽器片手にお得意の顔芸炸裂で指導を始めたマエストロ。それ以降、マエストロが椅子に腰かけている姿を見た者は誰もおりません。入院は逆にパワーの源となったようですね。
シーズン最初の練習曲はドヴォルザークの弦楽セレナーデです。
「この曲は石オケで演奏するのは2回目です。前回は第4回の定期演奏会でしたが、この時の演奏はメロメロで…」
その途端、ガクっと下を向く筆者始め数人の古参団員。
確かにその頃はまだ技術も未熟で(って今もですが)、オーケストラにも不慣れだった筆者は、あちこちごまかしながら演奏していた気がします。
「前回の演奏を改めて聴いてみて一番課題だと思ったのは、ダイナミックス(強弱)が全く利いてなかったことです。私も当時よくわかっていなくて今回、新たに勉強してわかった点もいくつかあります。それらをふまえて、新しいドヴォルザークを創りましょう。」
と宣言して始まったマエストロの指導、これまでと違って初回からやたらと細かい。フレーズごとに、細かく強弱の注意点を伝えたり、納得いくまで何度も弾き直しさせたり。フムフム、これが石オケのニューフェーズですね。
「よく、楽譜を見てください。ピアニッシモからさらにディミヌエンドしてますよ。ドヴォルザークが何をしたいのかよく考えて…」
その瞬間、マエストロが毛利先生に見えたのは筆者だけだったでしょうか?!
ニューフェーズに入った石オケではありますが、以前と変わらないシーンももちろん健在です。いつものように講師の先生に対する「ここはどう弾きますか」攻撃を仕掛けるマエストロ、今日のターゲットはりゅうちゃん先生こと加賀先生です。
「えーっ」と一瞬ひるんだりゅうちゃん先生でしたが、すぐに
「後半の16分音符のアップの時に速くなってしまいがちなので、常に八分音符を意識に置いて弾くといいと思います。」
と理路整然とした答えが返ってきました。以前から感じていましたが、的確な技術的なアドバイスを流暢に解説し、決して先輩の講師たちのように「気持ちで」とか「心で」とか言ってごまかしたりしない若者らしさが素晴らしいです。今シーズンは共演者としてソリストも務めることになっている加賀先生。もう「りゅうちゃん先生」は卒業ですね。
今日は、ニューフェーズで第一楽章にたっぷり時間を使ったために、第二楽章までしか進まなかったドヴォルザークでしたが、七色の旋律がまるで万華鏡のようにキラキラと変化していくこの曲の醍醐味を、今回こそ味わいながら弾けることを目標にやっていきたいと思います。
第12シーズン、よろしくお願いします!!
by A.E.<Vn>