2月17日。ピョンチャンオリンピックのフィギュアスケート男子、羽生選手と宇野選手のワンツーフィニッシュに日本中が興奮したこの日も、石オケの練習は続きます。
「今までやってきたことを信じてやれば結果はついてきます」
5月の本番の前に、羽生くんと同じセリフを吐けるように、今日も練習あるのみです!
今日は、まず、モーツァルトのクラリネット協奏曲の練習から。モーツァルトらしい音楽にとって大切なのが、フレーズの冒頭と終止形の弾き方です。第一楽章の出だしの音の重さが気に入らなかった様子のマエストロ。
「一小節目、伊東先生と安藤先生だけで弾いてみてください。」と講師の先生に模範演奏を要求します。
「はい、こういう風に弾いてください。」
すると、ちゃんと、モーツァルトらしい軽く跳ねるような音に変わりました。お手本があればすぐに真似して吸収してしまう、こういう素直なところが石オケ団員のよいところです。
フレーズの最後に「パン、パーン」という重音の終止形がよく出てくるのもモーツァルトの特徴ですが、これを「ジャン、ジャーン」と乱暴に弾いてしまうと音楽が台無しになってしまいます。
「バレリーナが着地するときのようにソフトに」
とマエストロは表現しましたが、
先生、今日それを言うなら<羽生くんの4回転ジャンプの着氷のようになめらかに>でしょ、
と心の中で突っ込んだ筆者でした。
休憩時間。うれしいクッキーの差し入れがありました。前回、撮影のあった番組のテレビ局からのいただきものということです。そう!石オケにとって初めての『ギャラ』であります!!
察しのよい読者の方なら、もうどこのテレビ局かおわかりですね。放送の詳細は、放映決定しだいお知らせしますの、いましばらくお待ちください。
さて、練習後半は、もちろんバルトークのディヴェルティメントです。今日のメインは第三楽章。かなりトリッキーながら、テンポよく進むフレーズが次々と出てきて、慣れてくると演奏している方も楽しくなってくる楽章ですが、めまぐるしく移り変わっていくフレーズに一時も息が抜けません。指揮者にとっても同様のようで、マエストロも、途中からセーターを脱いで大奮闘です。たたみかけるように加速していって、唐突に終わる曲の最後の部分がこの曲の見せ場なので、今日は、特にこの部分を集中的に練習しました。団員たちが『ハチの来襲』と呼んでいる半音階が連続する箇所です。
この『ハチの来襲』が始まる前の部分に、ピッチカートで演奏する可愛らしいメロディーに、ヴィオラがグリッサンドでユーモアを加える、この楽章で唯一のほのぼのしたフレーズがあって、某団員は
「くまのプーさんが鼻歌を歌いながら楽しくお散歩していたら、突然、ハチの大群が襲ってきた」
という図をイメージして練習している、と常日頃言っていたのですが、何と、今日の練習では
「ハチじゃなくて、大量のプーさんが上から降ってきた!!!」
大量のプーさん?
ほらほら、あれですよ。リンクいっぱいに広がったぬいぐるみの…
そんな「プーさんの来襲」の繰り返しのおかげで、筆者の頭の中でも、オリンピック中継が終わってから鳴り続けていた『トゥーランドット』はすっかり掻き消され、気付いたらバルトーク一色に塗り替えられていたのでした。
最後にもうひとつ最新情報。バッハのブランデンブルクの第二楽章として毛利先生が演奏されるカデンツァが完成し、本日、初披露されました。これまでのアドリブ演奏以上に重厚かつテクニカルなカデンツァで、団員一同、思わず聴き惚れました。この後、さらに進化(深化)する気配もあり、本番が楽しみです。
by A.E.<Vn>