11月27日、3週間ぶりの練習です。この間に急に季節が進んだようで、今日はグッと冷え込んでいます。
今日は、講師の先生方が全員お休みで、マエストロと団員のみの練習会となりました。すると、マエストロの先生魂がムクムクと湧きあがってきたようで、今日はすっかり「西谷先生の弦楽器教室」といった趣となりました。もとより
「教えることが三度の飯より好き」
と公言するヴァイオリン指導者でもあるマエストロです。ヴァイオリン片手に実演を交えて、熱血指導の一日となりました。
『死と乙女』の中に付点音符が4回連続する勇壮な箇所がありますが、ここは漫然と弾いてはいけません。弦の上の指の動きをしっかり見ながら、意識を持って弾くことが大事です。マエストロは、アメリカ修行中に先生方から言われた言葉を使って「フォーカスする」と表現しました。「焦点」という意味のフォーカスですね。日本語にすると「全集中」ってところでしょうか?楽譜に、しっかりと“Focus”と書きました。
16分音符が連続する速いパッセージを弾きこなすには…こういう箇所は「やはり暗譜が早道です」とのことでした。
「“なまむぎ なまごめ なまたまご”と早口言葉を覚える時に、書いてあるのをずっと見ながら練習していても、ちっとも覚えられないけど、そらで何度も唱えているうちに自然に言えるようになるのと一緒です。」
ふむふむ、なるほど。
でもこういう箇所は、たいてい移弦やポジション移動が必ずあって、指が覚えてくれるまでの過程がたいへんです。すると指に覚えさせる早道もマエストロが伝授してくださいました。それは、初めの1拍(16分音符4つ)をまず練習し、それができたら2拍目まで(16分音符8つ)、それもできたらその次は3拍目まで(16分音符12個)……と順々に音を増やしていくという方法です。
「なまむぎ」式に説明すると
なま
なまむぎ
なまむぎ なま
なまむぎ なまごめ
なまむぎ なまごめ なま
なまむぎ なまごめ なまたまご
という具合に進めていけば、長いパッセージもばっちりマスターできる!という訳です。
実際にやってみましょう!
ということで、やってみたところ、練習前はばらついていたパッセージが、見事に美しく仕上がりました!!
もうひとつ、今日の練習で団員たちに評判のよかったことがありました。それは、曲の後ろの方から練習する、という試みです。今日は、ほとんどの時間を『死と乙女』の練習に充てたのですが、マエストロは
「たまには後ろの方からやってみましょうか。」
と、最終ページのpiu mossoから始めて、後ろから遡る形で進めました。曲の頭から練習を開始すると時間切れになって後半の練習が不足がちになる傾向があります。個人の練習でも、毎回、頭から練習を始めているうちに、前半だけは得意だけど後半が苦手という事態に陥ったりしているのではないでしょうか。『死と乙女』は、後半部分にけっこうハードな部分が多いので、今日はとても勉強になりました。
こうして遡っていって、最後はみんなの「得意な」前半を思い切り弾いて、練習を締めました。熱演のあまり、マエストロのマスクは鼻息で上にずれ、下にずれたいへんなことになったのでした。
by A.E.<Vn>