ここまで順調に練習を進めてきた第8シーズンでしたが、コロナの爆発的な蔓延を受けて2回の練習中止を余儀なくされました。しかし、本番まであと2ヶ月余りとなり、それほど悠長に構えてもいられない!ということで、マエストロは練習再開に踏み切りました。2月26日、再始動です。
さて、去る2月3日、二度目の練習中止の連絡とともに、団員限定のYouTube動画に乗せて、マエストロからのメッセージが送られてきました。その内容とは…
「二度の練習中止と聞いて、団員たちの間でヘンな噂が出回っているようです。練習の時間がないので、ドビュッシーはやらないことになった、という噂なのですが、それは全くのフェイクです!ドビュッシーもちゃんとやります!だから練習しておいてください!!」
ドビュッシーと言えば、このブログでその「カオス」ぶりを二度も紹介してきたあの弦楽四重奏、団員の多くが大苦戦している曲です。本当にそんな噂が出回っているのか定かではありませんが、マエストロが完成に危機感を感じているのは確かなようです。そういう訳で、団員たちはこのひと月、ドビュッシーの個人練習に没頭することとなりました。
そして、今日、三度目の正直として合奏に臨みます。この間、団員の側から講師の先生方にアプローチして、ボウイングを決めていただいたりフィンガリングのヒントをいただいたりと前向きに取り組んできました。前回はオタオタだった筆者も必死に練習して、自分のパート譜は何とかモノにして臨んだつもりでしたが…
なんでちゃんと弾いてるのに合わなくなるの?
という場面が、ここかしこにあり、この曲の奥深さに今日も辟易するのでした。結局、今日の3回のトライアルで、一度も途中で迷子にならずに弾けたのは1回だけでした。合わなくなる原因は二点。メロディーラインなど他のパートをきちんと聴けていないこと、そしてマエストロの作る音楽の流れを掴みきれていないことです。原曲をもう一度よく聴いて、あとは練習で慣れていくしかないようです。今日はそこに気付けただけでも、大きな前進と考えることにしようと思います。そういう意味で カオス脱却(への第一歩) としておきます。
後半はモーツアルトのディベルティメントを練習しました。前半のドビュッシーは団員にとっての難行苦行の時間でしたが、後半は講師の先生方の苦行の時間です。久しぶりに、マエストロから講師の先生方に矢継ぎ早に質問が飛びます。ところが先生方も、だんだんこのスタイルに慣れてこられたようで、即答で決めるようになってきました。
ヴィオラの手塚先生は、「冒頭のスピカートをポンポンポンと空中に浮かぶような音で弾くにはどうしたらよいですか?」という問いかけに、
「アップの方に意識を向けること」
「短調に転じた展開部のスピカートはどんな感じで?」という問いには
「長調の時より少し長めに弾くこと」
と一言で決めてみせました。
セカンドヴァイオリンの安藤先生も、高音をパーンときれいに弾くコツを問われて
「弓を押さえつけないこと」
第二楽章の32連符の弾き方については
「細かい音符だからといって慌てずに、一音ずつ丁寧に」
と、こちらもピンポイントな回答をくださいました。
ファーストヴァイオリン席の後ろの方で心なしか小さくなっていた「指されるの苦手」な伊東先生ですが、第三楽章のメロディーを担うファーストヴァイオリンの心構えを聞かれて、う~~んとしばらくうなった後、
「合奏を聴いて、ああ、今のはいい演奏だったね、っていうのは、たいてい中声部がしっかりしている時で、演奏の良し悪しを決めてるのは中声部だから、ファーストは、まあ、それに乗っかってればいいから…」
全然、マエストロの問いの答えになっていない返答でしたが、そのあまりの説得力に思わず大きくうなずいてしまったセカンドヴァイオリンの筆者でした。
唯一残念だったのが、今日はチェロの毛利先生がお休みだったことです。チェロ・バスパートの皆さんへのワンポイントレッスンは、ぜひ次回に期待しましょう。
by A.E.<Vn>