10月1日。第9シーズンの練習も今日で3回目。だんだん調子が出てきました。
しばらく行われていなかった自主練も今日から復活し、練習前の別室には、ゆっくりしたテンポで音を確認したり、フィンガリングの情報を交換し合ったりする団員の姿がありました。
さて、練習の時間になりました。マエストロの冒頭の話題は、今日も糖質断ちダイエットのその後です。前回のお話では、7キロ痩せて、その後イタリアンに行ってしまって1キロリバウンドした、というところまででしたが、
「それから、また頑張りまして、8キロ減までいきました!」
と順調に続いているようです。確かにマエストロは目に見えてほっそりしてきて、今日は黒のスリムシャツとスリムパンツで決めています。しかし、ここまで急激なダイエットの様子を見ていると、少々心配になります。来年の本番では、クニトオケと石オケと合わせて10曲くらい振らなければならないマエストロです。それだけの体力はしっかり温存しておいてくださいね。
今日は、前回の約束どおり、チャイコフスキー弦セレの第二楽章と第四楽章をさらいました。今日は、講師の先生方が全員集合し、各パートに入っています。マエストロは先生方を質問攻めにしようと、虎視眈々と狙っています。特に第二楽章は各パートに聴かせどころや演奏を支える大切なパーツが散りばまれていて、質問攻撃には事欠きません。
セカンドヴァイオリンとチェロが弾くメロディーの裏でファーストヴァイオリンが奏でるオブリガードについて
「ここはどう弾きますか?」
と尋ねられた伊東先生。団員たちから思わずため息が漏れてしまうほど美しい音で模範演奏をしてくださいました。マエストロからも
「いやあ、素晴らしいですね。」と称賛の言葉が出ましたが、それに続いて
「それで、どうすれば、そういう風に弾けるんですか?」
とたたみかけられて、伊東先生
「……………?」
いつものパターンに陥りました。
他の先生に対しても今日のマエストロはなかなか手厳しいです。
第四楽章の臨時記号満載の複雑な部分の弾き方を尋ねられた某先生が
「えーっと、大事な音とどうでもいい音を考えながら…」
と言いかけたところで
「いえいえ、どうでもいい音はありませんよ。」
と、ちょっと意地悪くまぜ返したりしていました。
矢継ぎ早に飛んでくるマエストロの質問に、先生方はみんな、とりあえず弾いてみてから答えを考えるという伊東先生流のやり方を身に着けていきました。
それでも、先生方の言われることは、とても含蓄に富んでいて、少し意識するだけで何だか上手くなったような気がするから不思議です。今日、一番心に残ったのが、伊東先生のピッチカートの弾き方の説明でした。第四楽章には、何小節にもわたって続くピッチカートの部分があり、最後の方になるとたいていぶれてくるのですが、伊東先生はどれだけ弾いても全くぶれず、きれいな構えのまま涼しい顔で弾き続けています。コツは「肘の下の方の筋肉を意識すること」のようです。確かに、音が変わったり移弦したりしているうちに、だんだん弾く指の方に無駄な力が入ってしまうことで腕が疲れ、ぶれに繋がっているような気がします。肘に置く支点だけに力を集中して、ほかの部分はリラックスして弾く。ここがポイントです!
先週よりさらに身軽になったマエストロは、今日もぴょんぴょん跳び回って絶好調です。第四楽章の最後、マエストロが「石オケ伝統の」と名付けた超急速にして高速のPiu mossoでチェロのメンバーに悲鳴を上げさせたところで、今日の練習はお開きとなりました。やっぱり「譜読み」だけでは終わらない石オケでした。
by A.E.<Vn>