11月5日。コロナウィルスの世界的流行以来の海外旅行がようやく解禁となり待望のアメリカ演奏旅行に出かけたマエストロが不在のため、今日は分奏練習で各パート、基礎力を高めます。
今日の報告の前に、前回10月22日の練習会の報告をしておきましょう。筆者は所用により欠席したのですが、臨時レポーターからちゃんと報告が入りました。
この日はさながら『チェロのための日』だったようです。というもの、常任の毛利先生に加えてもう一人、ゲスト講師をお迎えしたからです。
大木翔太先生
マエストロが定期的に開催しているMiKnプロジェクトでアンサンブルを組んでいる新進気鋭のチェリストで、舞台でのトークも歯切れよく、筆者はちょっとやんちゃっぽい楽しそうな先生、という印象を受けました。
この日は、筆者始め高中弦の団員は欠席が多かったのにひきかえ、チェロチームはほぼ全員が出席で、自然に練習会はチェロ中心に進行していったようです。
マエストロは大木先生に対しても、いつものように容赦なく質問攻めにしたそうです。
「トリルを速く弾くにはどうしたらよいでしょう?」
「このチェロの難しいパートはどう弾きますか?」
「余韻を持たせるにはどうすればよいですか?」 などなど。
大木先生はその都度、間髪入れずそつなく鋭い回答を返してくださったそうですが、さて、その様子を見て‘先生魂’に火をつけられたのが我らの毛利先生!いつもは寡黙な毛利先生が、何と、大木先生が答えるたびに
「はい、はい!」
と手を挙げてさらに含蓄のある言葉を重ねるというやり取りが続いたというのです。
毛利先生が自ら挙手して発言される姿、丁々発止な?言葉のやり取り。
ぜひ、見てみたかった、聞いてみたかったぁ。
欠席したのは痛恨の極みです。
大木先生、ぜひ、練習会の再登板お願いします!!
そして演奏の方も、前列に大木先生、最後列に毛利先生を擁したチェロ軍団の音が大迫力だったようで、団員たちの間からは
「いつもの石オケじゃないみたいな重厚な音だ」
との声があがっていたとか…
この日はヴィオラの指導に入った李先生も、団員の心に残る言葉をいくつか残したようです。チャイコフスキー弦セレ第一楽章の冒頭部分を重く粘るように弾く方法について
「弓にはちみつを塗った感覚で」
と印象的な表現で説明されたそうです。
また続くスピカートの弾き方については
「弓を打楽器だと思って」
と説明し、それをアシスタント講師の加賀さんが上手に模範演奏で具現化してくれたと聞きました。
さて、11月5日の分奏についてです。
この日は、第一ヴァイオリンを伊東先生と李先生、第二ヴァイオリンとヴィオラを安藤先生、チェロ・バスを毛利先生に指導いただいて、それぞれ、ポイントとなる部分の技術、表現方法などを学びました。筆者の参加した安藤先生のクラスでも弦セレの第一楽章とドヴォルザークの『アメリカ』を中心にさらったのですが、安藤先生は弦セレ冒頭部分の弾き方について
「腕を使って中華鍋を振り上げる感じで」
と表現されました。
はちみつが出てきたり、中華鍋が出てきたり、石オケの先生方は実に表現が多彩です。キャラクターの異なる多くの先生方に個性溢れる言葉をたくさんいただける石オケ団員は幸せ者ですね。
その他にも、音を伸ばしている時にも頭の中で拍子を刻んでいることの大切さ、全部の音符を同じ比重で弾くのではなく、フレーズを意識して音に軽重をつけることでメロディーパートがとても弾きやすくなることなど、伴奏パートならではの注意点をたくさん教えていただき、実りの多い分奏練習でした。
後半の練習時間は巡回講師として、各部屋を回っていた伊東カメラマンの激写写真をいくつか披露して、本日の報告としたいと思います。
追伸 9月17日の記事で紹介したクニトオケの取材の件です。有名弦楽器専門誌『サラサーテ』の2022年12月号にクニトオケの記事が堂々掲載されました。マエストロ自ら記事の執筆を担当したとのことです。皆様、ぜひご一読ください。
by A.E.<Vn>