11月19日。石神井池を渡る風がちょっぴり冷たい季節になりました。石オケにとっては、季節とは裏腹に練習会には徐々に熱がこもってくる頃です。
数日前に届いた練習会メニューは団員たちには意外なものでした。年内は弦セレと『アメリカ』の練習に専念するものと思っていたら、
「モーツアルトの『フルートとハープのための協奏曲』の譜読み」
と書いてありました。筆者もすっかりモーツアルトは年明けのつもりでいたので、慌てて楽譜を広げた次第です。それでも「譜読み」だからと、軽くさらった程度でいたところ、
「12月の練習にハープの先生がいらしてくださることになったので、今日の練習に入れました。」
とマエストロ。
そういうことかと納得しつつ、えっ、それじゃ譜読みどころじゃないじゃん!と急に焦りだす団員一同でありました。
マエストロのアメリカ土産のアルコール綿で、一同、各自の楽器の弦と指板をきれいに磨いたところで、
「それでは、今日この日のために髪型を変えてきた手塚先生にバトンタッチします。」
とマエストロ交代となりました。モーツアルトのこの曲では、西谷先生はフルートパートをヴァイオリンで演奏するソリストとなり、手塚先生が指揮者を務めます。
颯爽と登場した手塚マエストロ。パーマとカラーリングで決めた髪型のみならず、ファッションもマエストロっぽく決めていて、このまま本番の舞台に立てそうな出で立ちです。とてもカッコいいです!
「それでは、さっそく始めましょう」と振り始めた指揮ぶりも、またカッコよく決まっています。石オケにレディー・マエストロ降臨です!!
しかし、レディー・マエストロの指導は、けっこう厳しく細かいものでした。
最初に釘をさされたことは
「ハープの音は思った以上に響かない。だから、基本的に音は小さく。」
ということです。
「小さく」と言っても、音に音楽的なメリハリをつけることはもちろん大切です。そのための技術、微妙な強弱のつけ方とか弓の使い方などを教えていただきました。
また、オーケストラパートには、伴奏パートならではの同じ音の連打とか、単純なパッセージの繰り返しなどが多く、つい漫然と弾いてしまいがちですが、硬めの音、やわらかい音、かわいい音…といったように、場面に応じて明確に音色を変えることが大切ということも教わりました。
今日も満席のチェロチーム
手塚先生の指摘はオーケストラの団員ならではの視点に満ちていて、普段の練習とは違う、また別の気付きがありました。そしてそれらを踏まえて、気になる箇所を何度も繰り返し演奏して、磨いていくのが手塚マエストロ流でした。第一楽章から第三楽章まで一日でさらうという駆け足のレッスンでしたが、各楽章のポイントは一つも落とさず、丁寧に拾っていただけたように思います。譜面上は比較的簡単そうに見えたこの曲でしたが、とても内容が濃く学びの多い2時間でした。
本家・マエストロの方はというと、今日はお役御免とばかりにヴァイオリンを片手に一団員になりきり、ゲリラ的に色々な団員の隣の席を演奏しながら渡り歩いて、とても楽しそうでした。
それにしても、ひと月後にはソリストをお迎えして本番仕様の練習をすることになるとは思ってもいませんでした。エンジンをかけるのは年が明けてから…と悠長に構えていた筆者にとってはお尻に火がついた今日の練習会でした。
最後に、ひとつお知らせです。
来月12月18日(日曜日)に、練馬区立石神井図書館にて、石オケの有志団員が子ども向けの音楽会で演奏します。2020年の年末に演奏させていただいたのに続き、二度目のオファーとなります。前回の演奏が評価していただけた結果かな、と前回メンバーの一員だった筆者も嬉しく思います。小学生までの親子限定のイベントですが、お近くの方はぜひご観覧ください。また、この関連で西谷先生が取材を受け、来年2月に発行される『図書館だより』にトップ記事として掲載される、との情報も入っておりますので、こちらもご注目ください。
取材を受けるマエストロ
by A.E.<Vn>