3月19日の練習会 ~今日から本気モード~

  • 2022年3月19日
  • 2022年6月10日
  • 練習
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またお天気にやられました。

練習会に向かう夕方から土砂降りの雨、台風並みの風、そして雷鳴まで。春の嵐の中で、今日の練習は始まりました。

マエストロの第一声です。

 「今日から本気モードに入ります!」

あ、いえいえ、けっして今まで本気でなかったという訳ではありません。団員たちはこれまでも真摯に楽譜と向き合い、必死で練習を重ねてきました。でも今日からは、単に「自分の楽譜をたどる」段階を卒業して、本番に向けて「皆でひとつの音楽を創り上げる」作業を深めていく、そういう意味での「本気モード」です。

本気モード初日のメニューは“とりあえず全曲通し”。さっそくバッハのコンチェルトからスタートです。

オーケストラ側は、単調な音型の繰り返しで一瞬でも楽譜から目を離すと迷子になってしまうこの曲ですが、伊東先生と安藤先生のノリのよいソロ演奏のおかげで、途中で「寝落ち」することなく気持ちよく伴奏することができました。先生方も

「本番はもっとスピードアップしよう」

とますますノってきたみたいです。

次はモーツァルトの『ディヴェルティメントK136』。前々回の先生方の一言アドバイスの効果でしょうか。浮いたり沈んだりと忙しいマエストロの演出を、団員たちはすっかりモノにしているようで、こちらも順調に進みました。

休憩をはさんで、次はシューベルト『死と乙女』です。

「“し”と言えば…」

マエストロの言葉に思わず身構えた団員たちでしたが……

「この間、歯医者さんに行ったのですが、歯を削る器械のE線の一番高いシの♭、あの音だけはイヤですね~」

すると、間髪入れず伊東先生がE線の一番高いシの♭をキ~~、キ~~と鳴らします。

「それそれ、その音!ほかの音は気にならないけど、シの♭だけはどうにも耳障りで…」

伊東先生、その後、何度もキ~~、キ~~と鳴らしてはマエストロの顔をしかめさせて面白がっていました。

言われてみれば、高音のB♭は、ほかの音より金属的な音に感じられるような気もしますが、それにしても、身の周りの音を全部音符にしてしまうマエストロの音感ってすごいですね。でも何だか疲れそうなので自分にはその能力がなくてよかったと胸をなでおろす筆者でした。

前振りが長くなりましたが『死と乙女』演奏開始です。冒頭部分を弾いたところで

「チェロ、バス、素晴らしいです!」

とマエストロから称賛の言葉が漏れます。死神が主役のこの曲は、特に低音部の充実が演奏の要かもしれません。充実した低音に支えられて、中高音部も気合を入れて演奏することができました。これまでより迫力のある『死と乙女』になってきたように感じました。

通し練習は順調に進み、さて次はいよいよ問題のドビュッシー弦楽四重奏です。“カオスからの脱却”を目指して、筆者も最も力を入れて練習してきました。それでも合奏になると、拍がずれたりしてしっくりいかないことの繰り返しだったのですが、今日は違っていました。最初から最後まで拍がずれることもなく音楽の流れに乗れ、気付いたらこれまで全然ついていけなかったマエストロ独特の緩急も自然にマスターしていました。最後の一音とともに心の中で思わずガッツポーズが出ました。

「私、もしかして急に上達しちゃった?」

と勘違いしかけた筆者でしたが、どうやらガッツポーズの要因は別のところにあったようです。それは、他のパートの音がよく聴こえていたこと。団員のみんながしっかりと音を出す努力をしてくれた結果だったとわかりました。一人ひとりの上達が「1」だとしても、それが合わさることで「5」にも「10」にも「100」にもなるのがオーケストラの醍醐味だと改めて感じました。

最後、芥川『トリプティーク』は第一楽章まで演奏したところで残念ながらタイムアップ。それでも全曲通しの目標はほぼ達成することができました。これまでに比べて、心なしか音に自信が出てきて演奏の迫力が増したように感じた今日の練習でした。どうやら団員たちの方がマエストロより先に「本気モード」に入っていたのかもしれませんね。

しかし、最後に最大にして最難関の課題が…

音楽の歴史をたどることがテーマの今回の演奏会、曲順はほぼこの日のとおりになります。後半は『死と乙女』『ドビュッシー』『トリプティーク』と大曲の三連戦。気力と体力が相当に必要です。

「みなさん、私の指揮に影響されすぎて途中で息切れしないように、冷静に体力の配分を考えて演奏してくださいね。」

あれほど団員を煽る指揮をしておいて、それを言う???

「本気モード」の道はまだまだ先へ続くようです。

 by A.E.<Vn>

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