4月28日。ついに定期演奏会本番まで、あとひと月を切ったこの日の練習は、スペシャルバージョン!特別講師としてお迎えした杉浦美知先生によるマスタークラスとして、バルトークの第一楽章をブラッシュアップしていただきました。
筆者にとってはちょっと懐かしい80年代を彷彿とさせるヘアメイクが印象的な杉浦先生は、アメリカ生まれ、アメリカ育ちの国際的ヴァイオリニスト。 講師紹介 に記載のとおり、世界を股にかけて活躍されている先生です。
今回のマスタークラス。予告ではバッハのブランデンブルクを見ていただくことになっていたのですが、杉浦先生のご希望により、急遽、曲目変更。なんと、バルトークをやることになり(なってしまい?)あせる団員一同…
いえいえ、何と言っても、バルトークのディヴェルティメントが今回の定演のメイン楽曲なのですから、これほど、ありがたいお申し出はありません。たっぷりと鍛えていただきましょう!
杉浦先生のレッスンは、これまでの練習とは、かなり切り口が違っていて、いろいろな意味でものすごく勉強になりました。
まず先生が最初に注目したのが、伴奏パートである、2ndヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバスの音のバランス、そして、音質を揃えることの大切さでした。なろほど、各パートの音のバランスを少し変えるだけで、伴奏に厚みが加わり、音楽が急に活き活きとしてくるのは驚きでした。杉浦先生の指示は、かなり細かく、同一パートの表と裏でも、音の大きさに微妙な差をつけることを要求されました。
杉浦先生は、オーケストラにおける中低弦、特に2ndヴァイオリンとヴィオラの重要性を強調しておられました。石オケの時間の前に行われたクニトオケ(ユースオケ)の指導の中でも、
「2ndやヴィオラは目立たないけど、実はオーケストラを支える一番大事な役割を果たしているのよ。だからしっかりと弾くことが大切。そして1stヴァイオリンは、ただ気分にまかせて弾くのではなく、ちゃんと、伴奏を聴くこと。」
と話されていました。
うん、うん、これは、このまま石オケの面々にもぜひ聞いてほしいアドバイスだな…
と思ったので、ここでご紹介しておきます。
メロディーパートである1stヴァイオリンに対しても、数々、鋭い指摘と的確なアドバイスをいただきました。曲中に何か所か出てくる速いパッセージを聴いていた杉浦先生。
「ここのところ、ごまかしてる?」
と問われ「はい、そのとおりです。」と思わず答えてしまいそうになった筆者でありましたが、弾けないと思うところでも、弓の使い方を少し工夫するだけで、ちゃんと弾けるはず、と教えていただきました。なるほど、細かく動かす左手の問題ではなく、右手の方の問題だったのか、とこれまた目からウロコが落ちました。
また、ともすると遅れがちになってしまう変拍子のメロディー部分は、首を振って数えるようなムダな動きをやめて、心の中だけで数えてリラックスして弾くように、とのアドバイスをいただきました。
この後、この曲の魅力であるソロとトゥッティーの掛け合いやパートからパートへのメロディーの受け渡しのことになると、杉浦先生の指導はさらに高度化していき、われわれ団員はもとより、パートのトップを担当している講師の先生たちの目の色も変わってきました。これまで、単にソロの真似をして、後からついていけばいいかな、くらいに思って漫然と弾いていたのですが、掛け合いでは、同じメロディーでも、音楽の流れの中でれぞれ違う意味を持っていて、ちゃんと役割に沿った弾き方(強弱・弓の勢いなど)をして繋いでいくことで、七色の彩を持った流れるような音楽ができあがっていくことを体感させていただきました。
あ、スゴイ!バルトークの魅力って、こういうところにあったのか…
遅ればせながら、初めてそんなことに気付かされた筆者でした。
今日のマスタークラス。とっても疲れたけれど、とっても充実した時間でした。本番に向けて、本当にたくさんのことを吸収させていただきましたが、問題は、あとたったのひと月で成果を発揮できるところまで果たして行き着くのか、ということです。せっかくいただいた珠玉のアドバイスを忘れないうちに、GWは練習あるのみです!!
杉浦先生、有意義な時間を本当にありがとうございました。
さて、ハードなレッスンの後には、うれしいご褒美が待っていました。2週間前に、リサイタルで石オケ講師陣と共演された坂田麻里先生から「いただいたお花のお礼に」ということで、石オケとクニトオケにお菓子の差し入れをいただきました。地元・石神井では知る人ぞ知る名店のチーズケーキとのこと。いただいてみると、口の中でフワ~っととろける絶品でした♡♡
坂田先生、ありがとうございました。ごちそうさまでした。
今日のマスタークラス、緊張していたのは、われわれ団員だけでなく、マエストロと講師の先生方も同様だったようです。いつもの中華の二次会に率先して参加してきた先生方、ふだんよりだいぶテンションが高かったように感じたのは筆者だけだったでしょうか?
by A.E.<Vn>